ごあいさつ

第19回日本在宅薬学会学術大会開催にあたって

謹啓

 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。また平素より本学会の活動に対し、格別のご高配を賜り、厚く御礼を申し上げます。

 2009年12月に本学会が設立されてから15年。私たちは、薬剤師によるバイタルサインの活用や、それに基づく服用後のフォロー、薬学的知識を活かしたアセスメントと処方前のフィードバックなど、在宅の現場で地道な実践を積み重ねてきました。

 これらの知見を外来患者にも応用すべく、「先確認」や「先服薬指導」といった新たな取り組みも、在宅領域で培った薬局パートナー制度とともに展開してきました。さらに、患者の状態把握を起点に、漢方を活用した処方提案や、セルフメディケーションへの応用も進めています。

 いま、薬局は「立地依存型・対物中心」の調剤薬局から、「機能依存型・対人業務中心」の地域薬局へと進化する時期を迎えています。その実現に向けては、「外来・在宅・OTC」の三本柱を構築することが不可欠であり、加えてDX--すなわち機械化・ICT化・ロボット化の推進による薬剤師業務の変容が、薬局の質的転換を支える鍵となります。

 折しも、この2年余り、私は、国家戦略特区における「調剤業務の一部外部委託」の制度設計と実証を通じて、薬局DX推進コンソーシアムの仲間たちとこの挑戦に取り組んでまいりました。そこでは、薬局・病院・教育機関の薬剤師だけでなく、薬剤師や薬局に関わる事業を展開する企業の方々との連携が重要であることも痛感してまいりました。

 この経験を踏まえて、本大会では、薬剤師のみならず、薬局経営や支援事業に携わる多くの方々とともに、三本柱を備えたこれからの薬局像を描いていきたいと考えています。

 「薬局DXで実現する外来・在宅・OTC~これからの薬局の三本柱」を大会テーマに掲げ、参加者の皆様が“百聞は一見に如かず”を実感できる学びの場となるよう準備を進めてまいります。

 ぜひ本大会にご参加いただき、皆様の知見と経験を分かち合っていただければ幸いです。末筆ではございますが、皆様のますますのご発展をお祈り申し上げます。


謹白
2025年10月吉日

第19回日本在宅薬学会学術大会
大会長 狹間 研至
(一般社団法人日本在宅薬学会 理事長)

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