学術大会1日目の様子

暑い暑い真夏の幕張に非常に多くの皆様にお集まりいただき、7月19日(日)~20(月・祝)の2日間に渡りしっかりと学びを深めることが出来ました。
前回よりもさらに多い、1184名の皆様にご参加いただき、第8回日本在宅薬学会学術大会は盛会裡に終了しました。

プログラム内容

会員総会・開会宣言

7月19日(日)8:50~9:00

会場
コンベンションホール
演者
大会会長平井みどり(神戸大学医学部附属病院 薬剤部長 教授)

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基調講演

7月19日(日)9:00~10:00

会場
コンベンションホール
演題
薬剤師による在宅サービス:新たな地平へのパラダイム・シフト
演者
座長:中野博美(医療法人啓信会 京都きづ川病院 理事長)
鈴木康裕(厚生労働省 大臣官房 技術総括審議官)

人口の高齢化(高齢者の急増から若年者の激減へ)や財政状況の深刻化(歳出と歳入の差の益々の増大)を背景に、医療ニーズは増大するものの、それを支える財源は伸び悩んでおり、より効率的な質の高い医療を提供する必要性は増大している。他方、医療を巡る技術の進歩はめざましく、より高度で個人の遺伝学的性質に適した医療の提供が技術的には可能となってきているが、今以上に高度な医療の提供を行う人的・財的資源の確保が急務となっている。 小規模の薬局が、在宅サービスという、移動時間(機会費用)がかかる業態へ踏み出すとき、おのおのが独自で地域サービスを行うだけではなく、在宅サービスを共同で運営する、といった新しい事業の姿も見据える時が来ているかもしれない、 と講演していただきました。

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招待講演

7月19日(日)10:15~12:30

会場
国際会議室
演題
ひとを動かす医療プレゼンテーションの秘訣
演者
座長:岸雄一(上尾中央医科グループ 医療法人社団協友会 前橋中央眼科 薬剤部)
講師:杉本真樹(神戸大学大学院 医学研究科 特務准教授)

医療現場で求められるコミュニケーションの原点であるプレゼンテーションを、原点に戻って基礎から理論的に考えましょう。情報を提示するだけでは不十分です。感動や共感だけで世界は変わりません。医療現場では、人を動かす内的動機付け(インセンティブ)を引き起こすプレゼンが求められています、 と講演していただきました。

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大会会長講演

7月19日(日)14:20~14:50

会場
コンベンションホール
演題
実践!薬剤師3.0~理論を語る時代から現場で活躍する時代へ~
演者
大会会長平井みどり(神戸大学医学部附属病院 薬剤部長 教授)

今大会のテーマは、社会の中で薬剤師は何を考え、どう行動するのか、どのようなミッションを果たしていくべきかを参加者の皆様と共に考え、語り合い、共有するものであります。既に多くの方々が、本学会のセミナーやシンポジウムに参加され、その中から次世代をになうべき方々も輩出しております。とはいえ、学会の枠に囚われず、薬剤師全体のあるべき姿を考え、実践していくのが、本学会の目指すところであり、その成果が日本の医療をよりよいものにしてゆく原動力になると考えます。処方薬が投与されてからが、薬剤師の活躍のとき。ピンポイントで患者や処方をみるのではなく、時間の経過を意識し、また生活者として患者さんを強力にサポートするのが薬剤師の責務であります。地域での連携が強調されている現在、薬剤師としての専門性を固めたうえで、チームの活性化を刺激し続けられる存在であることを、我々薬剤師は目指すべきでしょう、 と講演していただきました。

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教育セミナー

7月19日(日)15:00~17:00

会場
304会議室
演題
薬剤師のためのバイタルサイン講習会~体験版~
演者
講師:岸雄一(上尾中央医科グループ 医療法人社団協友会 前橋中央眼科 薬剤部)

日本在宅薬学会「薬剤師のためのバイタルサイン講習会」は、これまでに2,500 名を超える薬剤師が受講している。この講習会に参加する薬剤師の多くが、現状の業務に疑問を抱き何かしたいと考えている。しかし具体的に何をすれば良いのか分からず戸惑っている中、受講をきっかけに薬剤師人生が変わったと異口同音に述べている。この人生を変える講習会で、ぜひ多くの薬剤師に次世代型(薬剤師3.0)を目指していただきたい。“本気で薬剤師人生を変える”きっかけを、体験いただければ幸いである、 と講演していただきました。

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スイーツセミナー

7月19日(日)15:00~17:00

会場
国際会議室
演題
薬剤師職能拡大のピットフォール~医学と法学から薬剤師3.0を検証する~
法律改正と薬剤師の役割(講師:赤羽根秀宜)
医療環境の変化と薬剤師の役割(講師:狭間研至)
演者
座長:鈴木勝宏(日本薬科大学 臨床薬学教育センター 教授)
講師:赤羽根秀宜(中外合同法律事務所)
講師:狭間研至(一般社団法人 日本在宅薬学会 理事長)
共催:サノフィ株式会社


赤羽根秀宜(中外合同法律事務所)
昨年6 月、薬剤師法第25 条の2 が改正され、薬剤師が調剤した際の情報提供義務に加えて「必要な薬学的知見に基づく指導」義務が追加された。この指導義務が加わることによって、薬剤師は、今まで以上に、患者個人の生活をみた個別具体的な服薬指導が要求されることになる。また、薬事法が改正され医薬品医療機器等法になったこと等もあり、薬剤師の役割は幅広く、より高度なものが求められてきている。このような法改正は、国民からの薬剤師への期待とも考えることができ、薬剤師は、この期待に応える必要があるだろう。そもそも法とはどのような性質のものなのか、法解釈とはどのようにしていくものなのかということについても考えたい、 と講演していただきました。
狭間研至(一般社団法人 日本在宅薬学会 理事長)
複雑化する薬物治療支援のニーズが飛躍的に拡大するなかで、それを支える医師や看護師数は増大しないのが我が国である。医療ニーズと医療提供体制のミスマッチを解決するために多職種連携は必須であるが、特に医療ニーズの多くが薬物治療の個別最適化であることを考えれば、薬剤師が果たす役割は、入院、外来、在宅に関わらずきわめて重要になるはずである。とはいえ、従来通りの処方箋調剤業務を機械的にこなす「モノ」と「情報」の専門家としての薬剤師であるならば、物流システムの改善や調剤業務の機械化、そしてインターネットの発達によってその存在価値は相対的に低下している。しかし、薬剤師が、薬を患者さんに渡すまでの仕事から、薬を服用した後の患者さんをチェックすることで前回処方の妥当性を薬学的に評価し、次回の処方内容の適正化につなげるという医師との協働した薬物治療を行う仕事にシフトすることの意義はきわめて大きい。そこで、問題になるのが、法律的な問題と経営的な問題である。すなわち、このような新しい薬剤師のあり方が医療に良い影響を及ぼすことが示せたあとは、法律的に齟齬を生じないのかどうかということと、このようなアクションが永続的に続けられるための採算性を確保できているのかということをチェックしなければならない、 と講演していただきました。

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シンポジウム

シンポジウム1

7月19日(日)10:05~12:35

会場
コンベンションホール
演題
地域包括ケアに求められる新しい薬薬連携 ~その現状と展望~
演者
座長:近藤太郎(公益社団法人 東京都医師会 副会長)
オーガナイザー兼座長:狭間研至(一般社団法人 日本在宅薬学会 理事長)
シンポジスト:
坂井美千子(さかい薬局グループ 専務取締役)
小林星太(有限会社とくひさ とくひさ中央薬局)
伊東俊雅(東京女子医科大学東医療センター 薬剤部 薬剤副師長)
齊藤真一郎(独立行政法人 国立がん研究センター東病院 薬剤部 部長)
藤田愛(医療法人社団 慈恵会 北須磨訪問看護・リハビリセンター 所長)
佐々木淳(医療法人社団悠翔会 理事長)
鈴木邦彦(公益社団法人 日本医師会 常任理事)
特別発言:鈴木康裕(厚生労働省 大臣官房 技術総括審議官)
【公益社団法人 日本医師会、一般社団法人 日本在宅薬学会 合同シンポジウム】

坂井美千子(さかい薬局グループ 専務取締役)
『顔が見える薬薬連携の構築を病院薬剤部からのアク ションだけに頼らないこと。』私たちはこの意識を常に持ち、共に地域医療を支える保険薬局として、 結果が出ようが出まいが実践を重ねてきました。各種合同研修会の開催など、保険薬局からも発信す ることで地域の病院薬剤部の方と協力・相談を得られるようになり仲間の輪が大きくなったのです。 一方で顔の見えない薬薬連携でのスタートもあります。全職 種で問題の全容が把握出来ておらず、在宅での問題が暗礁に乗り上げていました。しかしMy 患者は 待ったなしの状況。ないない尽くしの在宅の中で問われた、薬薬連携は手段か目的か。薬薬連携出来 なければ諦めるのか。「顔が見えなきゃ腹を見せに行くしかない!これが顔が見える関係の第一歩!」 このような状況の中、若手薬剤師であっても、果敢に「めげない・逃げない・諦めない」在宅に挑戦。 薬局一丸となってOur 患者と仲間を支え、薬局発信で次第に船がまた動き始めた事例を 講演していただきました。
小林星太(有限会社とくひさ とくひさ中央薬局)
在宅がん緩和ケアにおける薬剤師の活用は、退院支援や在宅療養支援を通じてがん患者に 多大なメリットをもたらす。今後はいかに在宅がん緩和ケアに対応できる薬局と薬剤師を増やすかが 課題であり、薬薬連携の果たす役割は重要である。本シンポジウムでは石川県において薬薬連携を基 盤に活動を広めつつある薬剤師の取り組みをご紹介し、薬薬連携の活用方法を考える機会としたい、 と講演していただきました。
伊東俊雅(東京女子医科大学東医療センター 薬剤部 薬剤副師長)
我々は外来化学療法など通院治療にシフトしつつある患者を見据え、「医療 施設」から住み慣れた「在宅」、またその逆の場合でも、その薬物療法が混乱することのないように、 薬・薬連携を強化して薬物療法による継続的な患者ケアに貢献することにある。 昨今、多剤療法があらためて社会問題化されつつある中、地域薬剤師と病院薬剤師が共同で患者の適 切な薬物療法を提供するために行動をとることが求められており、かかりつけ医師ならぬかかりつけ 薬剤師の存在をアピールすることが重要であると考える。と、自経験を含め地域連携の薬剤師が なすべきCare とCure について 講演していただきました。
齊藤真一郎(独立行政法人 国立がん研究センター東病院 薬剤部 部長)
病院薬剤師と保険薬局薬剤師のがん薬物療法の情報共有と説明内容の均てん化を目的に当薬剤部は柏 市薬剤師会と地域がん治療研修会を共催している。近年、経口抗がん剤による治療患者が増加、近隣 薬局の薬剤師とは定期的に経口抗がん剤や支持療法薬に関する勉強会、症例検討会を行っている。こ の取組みにより、保険薬局薬剤師は自信を持って抗がん剤の説明や対応できるようになり、従来にも 増して患者から情報を聞き出すことができるようになった旨が報告されている。 医薬分業が病院薬剤師に大きな業務変革の波を起こしたが、地域包括 ケアは薬局薬剤師を大きく変える機会であると認識し、病院薬剤師と保険薬局薬剤師が連携に向けて 模索している現状を紹介する、 と講演していただきました。
藤田愛(医療法人社団 慈恵会 北須磨訪問看護・リハビリセンター 所長)
薬剤管理は薬を飲む、飲まない、飲めないという表面的な現象ではなく、その向こうにそれぞれの 人のストーリーが絡み合っていることも少なくない。今回は70 代で一人ぐらしの糖尿病とうつ状態 の方の薬剤管理に関する看護の実際をご紹介し、参加される皆様と一緒に薬剤管理とは何かを考えた いと思います、 と講演していただきました。
佐々木淳(医療法人社団悠翔会 理事長)
在宅医療の現場で感じる課題の一つが薬物療法の難しさである。 特に以下の3 つの点に課題を感じている。 (1)ポリファーマシー。(2)アドヒアランス。(3)薬物療法に伴う有害事象。 これらの課題を解決する上で、薬剤師による訪問服薬指導に期待する役割は大きい。患者の理解力・ 身体機能・生活リズム・介護力に応じた用法やパッケージの簡素化、有害事象の一次予防・二次予防 など、現在でも十分に機能してくれている。在宅医のみならず、訪問看護や訪問介護、通所サービス などとも連携を深めることで、服薬指導の質をさらに高め、より安全で実効的な薬物療法の提供が可 能になると思う。 複数医療機関、特に病院から投薬されている患者については、在宅医と病院主治医の間で処方調整に 難渋することが少なくない。 在宅医と病院主治医の目的共有が何より重要であることは言う までもないが、病院薬剤師と訪問薬剤師の連携に解決の糸口がないか期待している、 と講演していただきました。
鈴木邦彦(公益社団法人 日本医師会 常任理事)
地域包括ケアシステムにおけるかかりつけ医と薬剤師の役割のタイトルで発表いただきました。 地域包括ケアの5つの視点による取組み、外来医療の機能分化・連携の推進や医療提供施設、非営利の医療の一員としてあるべき姿は?など薬薬連携の前に医療連携の強化を!健康づくり支援薬局の前に薬剤師の本来業務の徹底を!と講演していただきました。

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シンポジウム2

7月19日(日)10:15~12:30

会場
303会議室
演題
在宅にも必須の薬剤師外来
演者
オーガナイザー兼座長:山村恵子(愛知学院大学薬学部 臨床薬剤学講座 教授)
座長:渡邊法男(愛知学院大学薬学部 講師)
シンポジスト:
山村恵子(愛知学院大学薬学部 臨床薬剤学講座 教授)
長谷川雅哉(津島市民病院 薬剤室 副室長)
瀧藤重道(このみ薬局大曽根店 薬局長)
大西順子(倉敷医療生活協同組合 総合病院水島協同病院 薬剤部 主任)
中村一仁(コーヨー調剤薬局扶桑店 薬局長)

山村恵子(愛知学院大学薬学部 臨床薬剤学講座 教授)
[薬剤師外来の成果は数値で評価]薬剤師がチー ム医療の中で、患者に貢献したことを、誰にでも理解してもらうためには結果を客観的に示すことが 必要となる。客観的な評価の最もわかりやすい手法としては結果を「数値」で示すことである。チー ム医療ではメンバー同士のあるいは患者とのスムーズな意思疎通が不可欠である。そのための「共通 言語」としての数値が役立つ。薬剤師外来では服薬の意義の理解度や治療成績を数値化することで、 薬剤師が介入する前と後でどれだけ変化したかを評価している。 患者の生活背景を目の前にし、多くの情報が得られる在宅薬剤業務では薬剤師外来は必須であり、そ れぞれのおかれた環境のなかで工夫して患者の適正な薬物使用を実践できる薬剤師外来が展開される ことを切に願います、 と講演していただきました。
長谷川雅哉(津島市民病院 薬剤室 副室長)
[在宅の薬剤師外来]喘息は薬物療法のみでは決して良くならない。患者さまの生活環境も改善しな ければならない。そのため、生活背景を知り、多くの情報が得られる在宅薬剤業務では、薬剤師外来 は必須である。在宅薬剤師が気管支喘息の吸入薬の適正使用に積極的に関わることで、より良い喘息 管理を行い、喘息により死なないようにすることはもちろんのこと、副作用のない薬物治療を行い、 長年喘息と戦っている患者さまの、発作のない、自立した、QOL の高い生活に必ずつながるものと 確信している、 と講演していただきました。
瀧藤重道(このみ薬局大曽根店 薬局長)
薬剤師が薬学的観点から処方提案することは誰もが容認する職務であり、提案の内容は科学 的根拠に基づいたものでなければならない。今回、報告したグラム染色による抗菌薬の処方提案を在 宅の患者を対象とした理由として、①医療チームの合意のもとに実施できること、また、②結果がリ アルタイムに得られ、速やかにチームで共有できること③患者の疾患を考慮し、代謝経路を考えた抗 菌薬選択の提案を可能とすることにある。今後は多くの薬局と連携し、感染症に罹患した患者の薬物 治療向上に貢献し、本取り組みのエビデンスを構築することを展望としたい、 と講演していただきました。
大西順子(倉敷医療生活協同組合 総合病院水島協同病院 薬剤部 主任)
外来や在宅治療への病院薬剤師の積極的介入は薬薬連携をはじめ多職種との連携の元、適正 な薬物療法につながり、患者に安心感を与えることができ、アドヒアランスの向上と病態の改善に寄 与できると考える。そのためには入院患者だけでなく外来患者へも病院薬剤師が積極的に介入する必 要がある。また保険薬局薬剤師による指導においても様々な問題が存在し、それを補うためには病院 薬剤師と保険薬局薬剤師の薬薬連携を充実させ継続指導の確立の重要性も示唆される。また、個々の 薬剤師が医師や多職種とのコミュニケーションを円滑にし、臨床知識と薬物治療の専門知識を備え指 導、処方提案、介入ができるよう個々の研鑽と教育・研修体制も重要と考える、 と講演していただきました。
中村一仁(コーヨー調剤薬局扶桑店 薬局長)
厚生労働省の20 13 年国民生活基礎調査によると、介護が必要となった疾 患のうち順位の1 位は脳血管疾患(脳卒中)である。脳卒中の主な原因である心房細動に合併する心 原性の血栓塞栓症は特に予後が悪く、予防と治療が極めて重要となる。ワルファリン(WF)は、血 栓塞栓症の予防及び治療を目的に広く繁用されている経口抗凝固薬である。日本循環器学会心房細動 治療(薬物)ガイドライン20 13 年改訂版では、人工弁を有する僧帽弁狭窄症患者においては、経口 抗凝固薬のうちWF のみが推奨されている。 薬剤師が診察前にINR を把握するとともにWF の服薬状況の確認を行う ことで、服薬指導の充実化が期待できる。 WF に比較して出血のリスクが少ないとの報告がある非ビタミンK 阻害経口抗凝固薬に対し て、今回の取り組みは薬剤師の立場からWF の適正使用を推進できると考えられる。今後、実績を 重ねていくことで、薬剤師によるINR の迅速測定費の保険請求が可能となることを展望としたい、 と講演していただきました。

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シンポジウム3

7月19日(日)15:00~17:30

会場
コンベンションホール
演題
在宅医療と食支援
三師代表徹底討論~薬剤師はここまでできる!
演者
オーガナイザー兼座長:野原幹司(大阪大学 歯学部附属病院 顎口腔機能治療部 医長)
シンポジスト:
野原幹司(大阪大学 歯学部附属病院 顎口腔機能治療部 医長)
小谷泰子(医療法人美和会 平成歯科クリニック 院長)
森田洋之(南日本ヘルスリサーチラボ 代表)
手嶋無限(開生薬局高田店 管理薬剤師)

野原幹司(大阪大学 歯学部附属病院 顎口腔機能治療部 医長)
高齢者においてはポリファーマシーが問題となっており多くの有害事象が報告されている。その流 れを受けて、今年になって日本老年医学会から「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン20 15(案)」 が発表された。そこでは投薬が強く推奨される「スタート」と中止を考慮すべき薬物である「ストッ プ」のリストが提示された。 今回のシンポジウムでは、薬剤の副作用によっ て生じる嚥下障害について解説し、嚥下障害からみたストップを一緒に考えてみたい。ポリファーマ シーに挑む一つの方法は、嚥下障害の視点からである。その視点を身につければ、在宅医療での薬剤 師のフィールドはさらに広がるであろう。ぜひ薬剤師の武器として身につけて頂きたい。嚥下難民と いわれる在宅高齢者の生活を「食」で彩るために、薬剤師の知識と技術が必要とされている、 と講演していただきました。
小谷泰子(医療法人美和会 平成歯科クリニック 院長)
日本は世界でも類を見ない超高齢社会に突入しています。その人口動態の変化に伴い、社会のニー ズも形を変えていきます。もちろん、歯科医療も現行のままだけではなく+ αを求められています。 嚥下障害、ドライマウス、睡眠時無呼吸、すべての疾患で薬剤が関わっています。す なわち、我々は歯科において+ αを追求した場合、薬剤師との連携が必要になりました。もちろん、 + αは働いている場所、得意分野によって様々ではありますが、薬剤師の皆様がそれぞれの立場で+ αを追求して、少しでも歯科との連携が必要と感じていただけますと、幸甚です、 と講演していただきました。
森田洋之(南日本ヘルスリサーチラボ 代表)
我が国は今後、「未曾有の高齢化社会」を迎えるといわれている。それに備え、いま全国で「地域 包括ケア」が構築されている途上である。では、地域包括ケアの中で薬剤師はどのような役割が期待 されるのだろうか。厚労省・中井清人薬剤管理官は言う、「在宅医療、残薬管理、副作用のモニタリ ング、それを医師らと情報共有する、また、OTC や衛生材料、健康食品などすべてをあわせてセル フメディケーションを考える『かかりつけ薬局』が重要」と。 地域包括 ケアが、「病院」から「地域」へ、医療の場が移ってくることの象徴であるなら、薬剤師の立ち位置 も自ずと変わってくる。莫大な医療・薬剤の知識を、もし「いかに早く袋詰めするか」だけに使って いるのであれば、それは国家的損失である。患者に寄り添い、地域全体を支える「地域包括ケア」。 薬剤師はその中で最も重要な役割を期待されているのではないだろうか、 と講演していただきました。
手嶋無限(開生薬局高田店 管理薬剤師)
私が活動している地域では、管轄の保健所が地域で活動している医療・介護・保健・福祉の各専門 職と協力することで、“口のリハビリテーション学習会”を企画している。それぞれの職種からの講 演に加え、地域活動での困難な症例について検討を行いながら他職種への理解を深めている。この会 に参加して、他職種に対し薬剤が及ぼす摂食・嚥下機能への影響についての情報発信を行うことで、 症例検討時における薬剤情報の重要性についても啓発している。本報告では、地域の薬局や薬剤師が 活動している食支援の実際を紹介し、薬剤師にとっての食支援に関する今後の取り組むべき内容につ いて共に考えていきたい、 と講演していただきました。

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シンポジウム4

7月19日(日)15:00~17:00

会場
303会議室
演題
期待される在宅医療における薬剤師業務の実践~様々な立場から薬剤師の在宅医療を語る~
演者
オーガナイザー兼座長:小枝伸行(八尾市立病院 事務局企画運営課 課長補佐)
座長:高場大基(アイビー薬局 大安寺)
シンポジスト:小枝伸行(八尾市立病院 事務局企画運営課 課長補佐)
高橋洋子(公益財団法人日本訪問看護財団立 おもて参道訪問看護ステーション 所長)
助川未枝保(一般社団法人日本介護支援専門員協会)
原田寿(株式会社フロンティアファーマシー フロンティア薬局浅草橋店 薬局長)
平野清(医療法人社団清風会 平野医院 院長)

小枝伸行(八尾市立病院 事務局企画運営課 課長補佐)
現在、多くの地域で薬薬連携について取り組みが行われており、地域の保険薬局薬剤師と病院薬剤 師が互いに連携し医療を担うことが、地域の医療を守るために重要である。全国各地において、薬薬 連携の取り組みが行われており、当院が位置する八尾市においても、様々な取り組みを行ってきた。  本シンポジウムでは在宅医療や地域包括ケアおいて、薬剤師の職能をいかんなく発揮するための薬 剤師が活躍できるフィールドとは何かに着目し、急性期病院からみた薬剤師が活躍できる機能や薬薬 連携について、期待と課題について述べる、 と講演していただきました。
高橋洋子(公益財団法人日本訪問看護財団立 おもて参道訪問看護ステーション 所長)
在宅療養者の病状の安定を図 るうえで服薬管理は重要です。服薬が正しくできない原因は年齢、認知力、知識、生活習慣などがい くつもの問題が重なり合うため管理方法は個別性の高いものとなっています。今後は、訪問看護にお ける服薬管理を見直し、服薬が困難なケースについては積極的に薬剤師の方に相談させて頂くととも に、訪問薬剤指導を提案するなど連携を図っていきたいと考えます。お互いに専門性を尊重し持ち味 を発揮することで安定した在宅療養生活を支援する体制を整えたいと考えます、 と講演していただきました。
助川未枝保(一般社団法人日本介護支援専門員協会)
地域包括ケアを推進して行く中で、医療と介護の連携が求められています。特に、これから中重度 の要介護者が増えていく事を考えれば、介護支援専門員としては在宅医療の重要性を認識しておりま す。  在宅医療で、訪問診療や訪問看護が進むにつれ、訪問薬剤師の存在も段々と大きくなってきました。 チームケアを目指していく中で、これから益々必要な専門職だと思いま す。そして、在宅医療の中では病院の近くの薬局だけではなく、日常生活圏域に相談できる場があり、 訪問薬剤師の方々がいて、在宅生活の継続のために協力体制が取れるという形を目指していければあ りがたいと思います、 と講演していただきました。
原田寿(株式会社フロンティアファーマシー フロンティア薬局浅草橋店 薬局長)
現在、我が国は高齢化が急速に進むに伴って疾患を抱えた患者が増え、医療費の増加が予想されて いる。その対策として、昨年の診療報酬改定では医療機関の機能分化と在宅医療の推進を強く意識す る内容となった。そして、医療現場では病院で医療を受けていた患者を在宅で過ごせるようにさせた いという意識が強くなってきている。一方で在宅医療を取り巻く環境はというと、未だに十分な体制 が取れているとは言い難い状態にある。それは単に医療者の不足といった人的なことや薬や物品など の供給の問題というものだけでなく、医療を提供する側と受ける側の思いのすれ違いといった面でも 現われている。 本シンポジウムでは在宅医療において、私たちの薬局の日常業務や経験した症例を紹介する中で、 医療者としての思いを共有し保険薬局薬剤師として必要なことを皆さんと一緒に考える機会にした い、 と講演していただきました。
平野清(医療法人社団清風会 平野医院 院長)
柏市は人口約40 万人で東京都心より約30 kmにあり千葉県北部に位置する市で昭和30 年~40 年台 に東京のベットタウンとして、いわゆる団塊の世代の人が移り住んで急激に人口が膨れ上がった街で す。当然の事ながら今後、急速な高齢化が待ち受けています。 この様な危機感より、柏市行政と柏市医師会が東京大学高齢社会総合研究機構の支援を受けスクラム を組み在宅医療「柏モデル」を推進するための5 つの目標を立てました。 現在、5つの目標は着々と実行し全市的な広がりを見せており、種々の成果をあげております。 今回はその成果と、多職種連携に於ける事例の紹介を行い、情報共有システムを使う場合に於いても 顔の見える関係が大切である事を強調したいと思います、 と講演していただきました。

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ランチョンセミナー

ランチョンセミナー1

7月19日(日)13:00~14:00

会場
コンベンションホール
演題
薬剤師のための60分でわかる めまい講座
演者
座長:狭間研至(一般社団法人 日本在宅薬学会 理事長)
講師:瀬尾達(医療法人瀬尾記念会 瀬尾クリニック 理事長・院長)
共催:大正富山医薬品株式会社

めまいは、日常きわめて良く遭遇する疾患に関わらず、その病態、治療は、一般人のみならず、 多くの医師および医療者に、あまりにも良く理解されていない。そもそも、めまいは、医学的には、『聴 覚、平衡感覚との不統合によって感じる自覚的な異常感覚』と定義される。その診断治療には、演者 のような耳鼻咽喉科医だけでなく、内科、神経内科、心療内科、脳神経外科、放射線科、など専門的 総合的な知識が、多く必要である。また、めまいを主訴とする患者は、毎年、確実に増加している。  めまいの原因は、臨床的には、大きく、①末梢性(内耳性)、②中枢性、③自律神経性、④めまい症、 ⑤薬剤性、と5 つに分類することができる。当然ながら、それぞれ5 つのめまいには、それぞれの特 徴、それぞれの症状、それぞれの疫学、それぞれの治療がある。  それらのめまいにつき、演者の、研修医や医学生への教育経験を生かし、成書とは異な るアプローチでわかりやすく、めまいの分類、聴覚のメカニズムと診断、平衡感覚のメカニズムと診 断、当院におけるめまいの診断と治療、めまい各疾患における特徴と治療、を交えながら、講演していただきました。

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ランチョンセミナー2

7月19日(日)13:00~14:00

会場
国際会議室
演題
在宅中心静脈栄養法(HPN)の適切な管理
演者
座長:林宏行(日本大学 薬学部 薬物治療学研究室 教授)
講師:井上善文(大阪大学 国際医工情報センター 栄養ディバイス未来医工学共同研究部門 特任教授)
共催:ニプロ株式会社

お国は在宅医療を推進し、誰もかれも在宅、在宅と言っているが、こと栄養管理に関しては、まだ まだレベルアップが必要なのではないかと思っている。特に、在宅中心静脈栄養法(HPN)に関し ては、必要な知識レベル、技術レベルに達していないまま、実施されているのではないであろうか。 最も重要なのは、在宅医療を含め、この国の医療の問題の中心は、栄養管理に関する知識 レベルが低いこと、栄養管理に関する関心が低いこと、栄養管理自体のレベルが低いこと、である。 きちんと栄養管理について学んだ経験、自分で一冊でも栄養管理に関する本を読んで勉強したことの ある方は少ないのではないであろうか。一人でも多くの方に、栄養管理の重要性を再認識していただ きたい、そういう思いで 講演していただきました。

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ランチョンセミナー3

7月19日(日)13:00~14:00

会場
302会議室
演題
在宅医療における経口飲料の選び方・使い方〜経口補水液とスポーツドリンクの違いを明確に〜
演者
座長:武藤正樹(国際医療福祉大学大学院 教授)
講師:谷口英喜(神奈川県立保健福祉大学 保健福祉学部 栄養学科 教授)
共催:株式会社大塚製薬工場

脱水症に対して、迅速に、確実に、そして簡便にできる経口的な補水方法、それが経口補水療法であ る。しかし、皆さんは、在宅医療現場の中で経口補水療法をただしく実施できているだろうか。経口 補水療法は、薬剤師が自分の判断で使用することが可能で、治療として活用できる体液管理である。 特に、スポーツドリンクと経口補水液の違いを薬剤師には習得してもらいたい。経口補水液に関する 次のような疑問にも瞬時に答えられるようにしてほしい。塩分、糖分制限者に活用して良いか、薄め て使用してよいか、あたためて使用して良いか、いつからいつまで飲めば良いか、スポーツドリンク で良いのか、カフェインはだめなのか。本セミナーでは、皆様に脱水症のしくみと判定法、その程度 や状況に応じた経口飲料の選び方を習得していただく。薬剤師が、経口補水療法を活用することで、 わが国の在宅高齢者医療の質が、さらに向上されることを期待する、 と講演していただきました。

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ランチョンセミナー4

7月19日(日)13:00~14:00

会場
303会議室
演題
高齢社会に向けた帯状疱疹治療戦略〜腎機能障害ゼロを目指して〜
演者
座長:髙崎潔子(株式会社タカサ 在宅療養連携支援室 室長)
講師:白濱茂穂(社会福祉法人 聖隷福祉事業団 総合病院 聖隷三方原病院)
共催:マルホ株式会社

人間に感染しているヘルペスウイルスは現在8 種類が証明されている。その中で、日常診療で遭遇 する機会の多いものは帯状疱疹である。皮疹は片側性に限局し、痛みを合併していることが多い。抗 ヘルペスウイルス薬の薬理作用はヘルペスウイルスの増殖を抑制することである。従ってウイルス量 の少ない、なるべく早期に十分な量を投与する必要がある。しかし、すべての抗ヘルペスウイルス薬 は腎排泄のため、腎機能が低下している高齢者では、その投与量を考慮する必要がある。 高齢者の帯状疱疹においては、腎障害を引き起こす可能性を考慮し、抗ヘルペスウイルス薬、鎮痛 薬の選択と適正使用、そして十分な水分補給などが重要である、 と講演していただきました。

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ワークショップ

スポンサードワークショップ1(ランチョン)

7月19日(日)13:00~14:30

会場
304会議室
演題
薬薬連携を進める上での課題
演者
オーガナイザー:井手口直子(帝京平成大学 薬学部 教授)
講師:清水淳一(社会福祉法人 恩賜財団 済生会支部東京都済生会 東京都済生会中央病院)
共催:テバ製薬株式会社

病院薬剤師の立場で考えられる薬薬連携の課題はいくつかあるが、中でも、①処方箋に添付する情 報内容、②退院時共同指導、③疑義照会時の敷居の高さは特にクリティカルなものと考える。また他 にも、④外来化学療法に関する連携、⑤セルフメディケーションと受診勧奨の境目、⑥介護職を含め た連携、⑦薬局の24 時間対応、⑧地域でのNST、ICT、PCT の確立など多岐に渡る。最近ニュース で取り上げられている「かかりつけ薬局」の在り方とも関連するが、地域としてより密接な連携を図 ることは重要で、開局薬剤師の皆さんが普段、遭遇している問題点、日ごろから思っている要望など を、本ワークショップをとおして洗い出し、相互理解を進め、より堅固な薬薬連携を実現するための 方策を皆で考えてみたい。さらには、関係するすべての皆さんのインセンティブも追及し、是非とも 全員がハッピーとなるものを追及したいと思う、 と講演していただきました。

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ワークショップ1

7月19日(日)10:00~12:30

会場
304会議室
演題
薬剤師のための、生命をみつめるワークショップ
演者
オーガナイザー兼座長:井手口直子(帝京平成大学 薬学部 教授)
講師:満岡 聰(満岡内科消化器科医院 院長)

私たちが普段無意識のうちに避けている死と向き合い、自分の生死に関わることをどう考えている か、自分の家族の生死に関わることをどう考えているかを、ワークを通してきづいていただきます。 まず、自分を知ることから始めて、本当の幸せへの気づきを促します。人生という限られた時間を 終えるときに、自分はこの人生をよく生きたと、達成感や満足感を感じることができるにはどうす ればよいのかをワークを通じて学びます。 そうして緩和ケアに必要な患者さんの心理、スピリチュアル・ケアや、がんの患者さんから教えて いただいたことの紹介を行い、死と向き合うことを学びます。 在宅医療と多職種連携と看取りの実際について紹介します。 在宅ネット・さがの活動紹介と多職種連携について紹介する。 癒しの輪唱のワークを通して人の声と音楽による癒しの至高体験を経験します。 こうしたことを通して、参加者のみなさんが、自分が何をしたいのか?自分にとって本当に大事な 物事は何か?自分がどういう生き方をしたいか?の気づきのきっかけになれば幸いです、 と講演していただきました。

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