ごあいさつ

第8回日本在宅薬学会開催にあたって

第8回日本在宅薬学会学術大会
大会会長 平井 みどり
(神戸大学医学部附属病院 薬剤部長 教授)
薬剤師、法律の条文に医療人と明記されてはや20年が経つ。この間名実ともに薬剤師は医療人たり得たか。
 「医療人の定義を言え」との声が聞こえてきそうだが、私は医療人と一般人の違いは、誰を(何を)優先するかだと考えている。医療行為は誰でもできる、例えば市民救命救急を国が推奨しているように。しかし、医療人は同じ事をやっても一般人とは全く異なるはずだ。技術的にという意味だけではない。医療人が行った医療行為は、患者第一の視点および成果が伴っていなければならない。
 薬剤師が変われば医療が変わる、とは本学会の狭間研至理事長が常に述べていることであり、全くぶれないのが本学会の最大の魅力である。そこに1200名を越える人が集まるのも宜なるかな。狭間研至理事長は医師として在宅医療に直接関わりつつ、そこでの薬剤師の活躍にも目を配り、そして体験と理論に裏付けられた意見を広く社会に問う。地域におけるチーム医療の体現者としての言葉は、説得力があり極めて重い。彼のことを「お医者さんだから」と言った時点で、チームの一員としての資格はない。患者と一緒に泥だらけ汗まみれになることを厭わない、これが現場での活躍の実態である。現場から離れている私自身、常に忸怩たる思いである。
 2014年1月に日本学術会議は提言「薬剤師の職能将来像と社会貢献」を発出した。そこには「将来像」というより、既に一部では実践されている内容が多々盛り込まれている。問題は「一部の」ではなく「すべての」薬剤師がそれを実践できるところまで至っていないということであり、理論を語るだけでなく、現場での実践にむけ我々は一層努力せねばならない。幕張に集結しよう。そして自身の活動の現状とプラン、薬剤師のミッションとビジョン、夢について語ろう。